車の総額ナビ
ハイブリッドで元を取るには何km走ればいいか。この問いに「約7〜10万km」と答えている記事が多くありますが、その数字がどの価格差とどの燃費差から出たのかは書かれていないことがほとんどです。ハイブリッドで元を取る距離は条件で倍以上変わるので、平均値だけ見ても自分の判断には使えません。
この記事では、ハイブリッドで元を取る距離を計算式から出します。必要な数字は3つだけです。ガソリン車との価格差、両者の燃費、ガソリンの単価。価格差は車種とグレードで変わるので早見表にし、燃費の差は50台の実データから出しました。前提の置き方は車の維持費の見方と同じです。
| 必要な数字 | どこで分かるか | この記事で置いた値 |
|---|---|---|
| 価格差 | 同じ車種のハイブリッドとガソリンの見積もり | 20〜50万円で早見表にした |
| ガソリン車の燃費 | カタログのWLTCモード | 50台の真ん中は17km/L |
| ハイブリッドの燃費 | カタログのWLTCモード | 50台の真ん中は26km/L |
| ガソリン単価 | よく行くスタンドの価格 | 1L175円 |
真ん中の値(17km/Lと26km/L)で計算すると、ハイブリッドは1kmあたり3.6円浮きます。1万km走れば35,633円、年8,000kmなら年28,507円です。この額で価格差を割るのが、ハイブリッドで元を取る距離です。価格差が30万円なら300,000円 ÷ 3.6円 = 約84,190kmになります。
| 価格差\燃費(ガソリン→HV) | 15→22km/L | 15→25km/L | 18→28km/L | 20→32km/L |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 5.4万km | 4.3万km | 5.8万km | 6.1万km |
| 30万円 | 8.1万km | 6.4万km | 8.6万km | 9.1万km |
| 40万円 | 10.8万km | 8.6万km | 11.5万km | 12.2万km |
| 50万円 | 13.5万km | 10.7万km | 14.4万km | 15.2万km |
表の幅を見ると、ハイブリッドで元を取る距離は6.1万kmから13.5万kmまで開きます。「7〜10万km」という通説は、このうちの真ん中あたりを指した数字です。価格差が20万円で燃費が大きく伸びる組み合わせなら6.1万kmで届きますし、価格差が50万円で燃費差が小さいなら13.5万km必要です。見積もりが出たら、自分の価格差の行を見てください。
| 年間の走行距離 | 年に浮く燃料代 | 元が取れるまでの年数 | 7年乗ったときの回収額 | 7年で元は取れるか |
|---|---|---|---|---|
| 3,000km | 10,690円 | 28.1年 | 74,830円 | 取れない(225,170円たりない) |
| 5,000km | 17,817円 | 16.8年 | 124,717円 | 取れない(175,283円たりない) |
| 8,000km(平均的な水準) | 28,507円 | 10.5年 | 199,548円 | 取れない(100,452円たりない) |
| 12,000km | 42,760円 | 7.0年 | 299,321円 | 取れない(679円たりない) |
| 15,000km | 53,450円 | 5.6年 | 374,152円 | 取れる |
| 20,000km | 71,267円 | 4.2年 | 498,869円 | 取れる |
ハイブリッドで元を取るという話でいちばん効くのは、価格差でも燃費でもなく年間にどれだけ走るかです。年3,000kmと年20,000kmでは、7年での回収額が74,830円と498,869円で、7倍ちがいます。年3,000km程度しか走らないなら、価格差はまず戻ってきません。その場合はハイブリッドを選ぶ理由を、燃料代ではなく静かさや走り出しの滑らかさに求めることになります。
| 台数 | 燃費のいちばん良い車 | 真ん中 | いちばん伸びない車 | |
|---|---|---|---|---|
| ハイブリッド | 20台 | トヨタ ヤリス(36km/L) | 26km/L | トヨタ アルファード(16km/L) |
| ガソリン車 | 24台 | スズキ ハスラー(25km/L) | 17km/L | トヨタ ランドクルーザー(9km/L) |
注意したいのは、この差は「車種をまたいだ比較」であって、同じ車種のグレード差ではないことです。ハイブリッドの中にも16km/Lの車があり、ガソリン車にも25km/Lの車があります。同じ車種でハイブリッドとガソリンを選べる場合、燃費の差はカタログで直接くらべられます。上の早見表には、そのカタログの数字を入れてください。車種ごとの燃費はハイブリッド車のランキングにまとめています。
| 入っていないもの | 中身 | どちらに効くか |
|---|---|---|
| 手放すときの価格差 | ハイブリッドのほうが高く売れるなら、その分だけ回収が早まる | ハイブリッドに有利になりうる |
| 駆動用バッテリーの交換 | 必要になれば十数万円。ただし交換せずに廃車まで乗る例も多い | ハイブリッドに不利 |
| 自動車税の重課 | 13年を超えるとガソリン車は約15%上がる。ハイブリッドは対象外 | 長く乗るほどハイブリッドに有利 |
| ガソリン単価の変動 | 単価が上がれば、浮く額も比例して増える | 単価が上がるほどハイブリッドに有利 |
このうち手放すときの価格差は、実勢の相場データが手元に無いので入れていません。ハイブリッドのほうが高く売れるのであれば、上の表より早く元が取れることになります。査定額の目安が分かったら、総額シミュレーションで残価率を変えて計算し直してください。13年超の重課については、ガソリン車だと年1万円前後増えるのに対しハイブリッドは変わらないので、長く乗るほど差が開きます(13年を超えると何が変わるか)。
| 年間の走行距離 | 7年で元が取れるか | 判断 |
|---|---|---|
| 3,000km | 取れない(225,170円たりない) | 燃料代では戻らない。別の理由で選ぶことになる |
| 5,000km | 取れない(175,283円たりない) | 燃料代では戻らない。別の理由で選ぶことになる |
| 8,000km | 取れない(100,452円たりない) | 半分は戻る。静かさを買うと考えるなら有り |
| 12,000km | 取れない(679円たりない) | 半分は戻る。静かさを買うと考えるなら有り |
| 15,000km | 取れる(+74,152円) | 回収できる。あとは好みで選べる |
| 20,000km | 取れる(+198,869円) | ハイブリッドで間違いない |
自分の年間走行距離が分からないときは、車検証を2回ぶん見て、走行距離の差を経過年数で割ると出ます。ハイブリッドで元を取れるかの判断は、そこから始めるのがいちばん確実です。そのうえで見積もりの価格差とカタログ燃費を上の早見表に当てはめれば、自分の条件での答えが出ます。
車種を選んで走る距離と乗る年数を動かすと、ハイブリッドとガソリンの総額がその場で出ます。車両価格を見積もりの数字に置き換えれば、実際の価格差で計算できます。
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