車の総額ナビ
「車の維持費は年いくら」という問いには、前提を書かないと答えられません。年3,000kmしか乗らない人と年20,000km走る人では燃料代が数倍ちがい、3年で乗り換える人と10年乗る人では1kmあたりの負担が倍ちがうからです。このサイトの車種ページは全部ひとつの前提にそろえてあり、その前提と考え方をここに書いています。各ページの数字は総額シミュレーションの初期設定と同じなので、開いて自分の条件に直せばその場で計算し直せます。
| 項目 | 幅(50台の実測) | 動くもの | 中身 |
|---|---|---|---|
| 自動車税 | 10,800〜57,000円 | 車種で固定 | 排気量の区分。軽は10,800円、電気自動車は1L以下の区分で25,000円 |
| 任意保険 | 60,000円(前提値) | 等級・年齢 | 同じ車でも等級6と等級20で倍ちがう。車種では決まらない |
| 燃料 | 年35,556〜155,556円 | 走行距離と燃費 | 唯一、走った分だけ増える項目 |
| 車検 | 1回60,000〜115,000円 | 車格 | 新車は3年目が初回、以後2年ごと。法定費用は同じで整備で差が出る |
| メンテ | 30,000円(前提値) | 乗り方 | オイル・タイヤ・バッテリー。距離を走る人ほど上振れする |
この分け方が効いてくるのは、あとに出てくる「走る距離」と「何年乗るか」の話です。4つが固定で1つだけ変動するという形が、「乗らない人ほど1kmあたりが高くなる」という一見おかしな結論を生みます。なお駐車場代は地域差が大きすぎるので、このサイトでは0円として外に出してあります。月1万円借りているなら、どの数字にも年12万円を足して読んでください。
| 項目 | 置いた値 | なぜそう置いたか |
|---|---|---|
| 走行距離 | 年8,000km | 自家用車のよくある水準。年6,000〜10,000kmに収まる人が多い |
| 乗る年数 | 7年 | 初回車検(3年目)とその後の車検を2回、合計3回通す長さ |
| 頭金 | 50万円 | 金利の影響が見える程度に借入を残した額 |
| 金利 | 3.9% | ディーラーローンの一般的な水準。銀行のマイカーローンならもっと低い |
| ローン年数 | 5年 | 60回払い。7年より短いので、完済後の安い期間が表に出る |
| ガソリン | 1L175円 | レギュラーの相場。上下すると燃料費がそのまま動く |
| 電気 | 1kWh32円 | 家庭用の従量料金。自宅の夜間電力なら下がり、急速充電なら上がる |
| 任意保険 | 60,000円/年 | 車種では決まらないので一律。自分の保険証券の額に置き換えて読む |
| メンテ | 30,000円/年 | オイル・消耗品。大物の交換が来る年は上振れする |
| 残価 | 25% | 7年落ちで手放す前提。実際は車種と状態で大きく動く |
入れていないものもはっきりさせておきます。駐車場代・高速代・洗車・任意の用品・事故や故障の修理費は含みません。どれも人によって0円から年数十万円まで開くので、平均を置くと数字が使えなくなるためです。また税制や燃料の単価は変わります(この記事は2026-09-30時点)。自分の条件で計算し直すなら総額シミュレーションで、ここに並べた項目をすべて手で動かせます。
トヨタ カローラクロス(50台のちょうど真ん中)で見てみます。年3,000kmなら7年の総額は397万円、年20,000kmなら477万円で、80万円ちがいます。ところが1kmあたりは188.9円から34.1円へ下がります。固定費の年168,857円を、3,000kmで割るか20,000kmで割るかの違いです。
ここから出てくる判断はひとつです。年3,000km程度しか乗らないなら、買うより借りるほうが安く収まる可能性があります。カーシェアやレンタカーは1kmあたりが割高でも、固定費を持たないためです。逆に年15,000km以上走るなら、固定費は薄まるので燃費の差が効いてきます。燃費が5km/Lちがう車を年15,000km乗ると、ガソリン代は年5万円前後ちがいます。車を選ぶ前に、自分が年に何km走るのかを先に決めたほうが早いのはこのためです。
| 乗る年数 | トヨタ カローラクロスの総額 | 1年あたり | 1kmあたり | 前の行からの下がり幅 |
|---|---|---|---|---|
| 3年 | 328万円 | 1,094,479円 | 136.8円 | — |
| 5年 | 374万円 | 748,626円 | 93.6円 | −43.2円/km |
| 7年 | 420万円 | 600,403円 | 75.1円 | −18.5円/km |
| 10年 | 484万円 | 484,236円 | 60.5円 | −14.5円/km |
| 15年 | 604万円 | 402,773円 | 50.3円 | −10.2円/km |
3年から5年に延ばすと1kmあたりが43.2円下がるのに対し、10年から15年ではほとんど下がりません。車体代をならす効果が先に出尽くすからです。この表は残価を25%で固定しているので、実際に15年乗れば残価はほぼ残らず、長い側はもっと不利になります。「長く乗るほど得」は正しいものの、7年を超えたあたりからは増えていく修理費と相殺されると考えたほうが実態に近いはずです。
もうひとつ、ローンとの関係があります。5年ローンで買って5年で乗り換えると、完済してから支払いが軽くなる期間を一度も使わないまま次のローンが始まります。車そのものより乗り換えの間隔が家計を決めている、という場面は珍しくありません。
維持費を削る話と残価の話は、金額の桁が違うことがあります。任意保険を年2万円安くすれば7年で14万円ですが、車両300万円の車で残価率が5%ずれれば15万円。同じくらいの額が、売るときの相場ひとつで動くということです。とはいえ残価は自分では決められません。できるのは次の4つくらいです。
4つとも、買うときと乗っている間の話です。手放す直前にできることはほとんどありません。唯一できるのは、売る先を複数あたって実額を比べることです。このサイトの車種ページでは残価率15%・25%・40%・55%の4通りを並べてあるので、査定額が出たらどこに当たるかを確かめられます。
維持費の節約は項目を全部並べて語られがちですが、金額で並べ替えると手をつける順番は決まってしまいます。目安は次のとおりです。
| できること | 7年で変わる額の目安 | 効きやすい人 |
|---|---|---|
| 乗り換えの間隔を延ばす | 数十万円 | 5年以内で乗り換えてきた人。いちばん大きく動く |
| 任意保険を見直す | 10〜20万円 | 1社しか見ていない人。同じ補償で年2万円の差は普通に出る |
| 走る距離を減らす | 5〜20万円 | 年12,000km以上走る人。燃費が悪い車ほど効く |
| 車検の出し先を変える | 4〜8万円 | ディーラーのみで通してきた人。法定費用は同じ |
| 頭金を増やす | 5〜15万円 | 手元に現金がある人。減るのは利息だけ |
| 燃費のよい車に乗り換える | 状況による | 距離を走る人。乗り換え自体の費用と相殺されやすい |
順番は車種で入れ替わります。燃費のよい軽なら保険が最大の費目になり、距離を走る大型車なら燃料が最大になります。車種ごとにいくら動くかは、各車の維持費ページに実額で出してあります。50台のランキングから自分の車を探してください。
| 区分 | 台数 | 維持費(年)の幅 | 7年総額の幅 | 1kmあたりの真ん中 |
|---|---|---|---|---|
| 軽自動車 | 7台 | 182,514〜234,207円 | 241〜336万円 | 47.1円 |
| 小型車 | 14台 | 197,960〜241,424円 | 303〜468万円 | 60.6円 |
| 中型車 | 13台 | 218,857〜268,857円 | 394〜740万円 | 83.1円 |
| 大型車 | 10台 | 246,422〜351,841円 | 486〜1,021万円 | 101.8円 |
| 電気自動車 | 6台 | 162,070〜194,862円 | 375〜708万円 | 115.7円 |
区分の名前より、実際の金額の重なりのほうが大事です。軽自動車の高いほうと小型車の安いほうは総額で重なります。「軽だから安い」ではなく、どの車をどう乗るかで決まるということです。区分をまたいだ並びは総額ランキングにまとめてあります。